上司の仕事:こじれた案件の幕引き
社会には争いごとは沢山ある。部長と部長が仲が悪いとか、会社と会社がシェア争いをしているとか、国家間でも「冷凍餃子の毒」についての犯人探しとか、枚挙に暇がない。
一般に事件が起これば争いとなり、争いは誰でも簡単に始めることができる。一方難しいのは一度始まった争いを終結させることである。
冷凍餃子事件では毎日の報道で詳細に色々なことが報じられている。我々日本人だけでなく中国でも韓国でも、おそらく中国で開催されるオリンピックに参加する国々でも強い関心を抱いているのではなかろうか。広く興味をもたれているだけに、冷凍餃子事件を終結させることは難しい。しかし、その任務は誰かが負わねばならない。
自分の勤めている会社で事件が発生したとき、その事件の責任者が明確であれば、その人物を左遷なり辞任なりさせれば、一応決着する。しかし、事件の責任を特定することが難しい、あるいは特定することが将来を考えると得策でない、という事例も多い。その時「幕引き」のできる人物は出世できる。特に会社にとって命運を分けるような事件で「幕引き」を実行できたら、会社にとっての恩人である。私の知っている例では、会社が倒産の危機に立ったとき、組合と交渉して熾烈な議論を戦わし、首切りを実行できた人はその後社長になった。
本日2月29日の読売新聞朝刊一面に、「ギョーザ捜査、日中対立」とある。中国側の警察が毒の混入を否定し、日本の警察と真っ向から対立する構図となった。警察庁長官が中国側に対して猛反論したそうである。
私は「幕引き」のタイミングになったと感じた。理由は次のとおりである。
・日本人は、同時に多くの中国人も、ギョウザに毒が入っていた事実は十分に知れ渡った。今後は当然自己防衛する。
・どのような経緯で毒が入ったかは原因が明らかにされることが望ましいが、原因が明らかになると当然誰かがその責務を負わなければならない。当事者は傷つくし、この問題は国家間の事件なので、深追いはしないほうが良い結果を生む。
私が「幕引き」タイミングになったと感じたのは、中国警察の発表内容からである。余副局長が「実験の結果、メタミドホスは袋の外側から内側に浸透する」という見方を示した。この発言を私流に説明すると、東洋的にその背景を考えて判断すれば「幕引き」を要求しているのであり、西洋的に論理の筋道で解釈すれば「決着のつかない戦いを宣言」したと取れる。どちらを選ぶかは、日本にボールが投げられたという印象だ。
我々は日本の警察が調べた結果を信用している。中国政府にはオリンピックを控えたそれなりの重要事項があり、日本が手負いの相手を追い討ちするのは決して得策ではない。中国は隣人であり、日本は過去に中国民に迷惑をかけている。政府の賢明な「幕引き」を期待したい。
トラックバック URL :
コメント (0)