足利事件と最高裁判所

本日6月10日足利事件の菅家さんを犯罪者として長期間拘留したことについて、最高検察庁がメディアを前に謝罪したと報道された。菅家さんが検察も裁判所も絶対許さないと話しているのは、当事者として当然とのことと受け止める。
事件の詳しいことは分からないが、最新のDNA鑑定から科学的に無罪と証明された以上、菅家さんを早期に釈放するのは当然だし、最高検察庁が菅家さん直接でなくても謝罪したのは評価したい。
断片的なニュース報道から、裁判所、特に最高裁判所が何も動きを起こしていないのはなぜだろうと思う。ニュース報道によれば、もっと早期にDNS鑑定をすることができたのに、最高裁判所はそれを行わなかったという。裁判所は組織が犯した過ちを素直に認め謝罪することが出来ない、そんな組織なのだろうか。
菅家さんに無期懲役を言い渡した最高裁判所が沈黙し、一方で国民に裁判員制度への協力を呼び掛けている。
裁判所、特に最高裁判所への国民の信頼感が根底から崩れてしまうかも知れない裁判制度の危機に対して、最高裁判所の顔がジャーナリズムに現れないのは、鳩山総務大臣の言葉ではないが、まことに遺憾である。

麻生政権存続につながる思いきった政策提言

父は92歳で3週間前に大病院に入院し「強いめまい」の原因を診断してもらった。MRIなどで測定しお医者さんから説明を聞いた。高齢のため手術は危険を伴うので、このまま薬治療で様子を見るのが良いと思います、というアドバイスをいただいた。
夕方NHK番組で若い看護師が過労死になった番組を見た。3月に65歳の私が手術で入院した別の病院でも、お医者さん看護師さんとも丁寧な応対で医療に努力している様子が感じられた。看護師として働いていた娘さんを過労死で失ったお父さんがTVの中で述べていた言葉「病人を助ける役割を担う看護師・医師が、病人より先に死ぬような医療現場の環境ではあってはならない」に強く同感した。
我が娘は30代半ばまで医者として都立病院で働いていたが、36時間連続勤務など医療機関の過酷な労働環境に耐えてきたが、ついに体の不調が見つかり退職した。同じように、勤務医の医療現場の労働条件が厳しいために、仕事を辞める例は沢山あるようだ。
麻生政権は今存続の危機にある。麻生政権では次の衆議院選挙は戦えないと、自民党の内部では分裂の余震が起きている、という具合にジャーナリズムがはやし立てている。国民に「飴」をばらまくだけのような政策では、麻生政権の個性をアピールすることはできない。産業活性化政策で中小企業が若干助けられても、直接国民に訴える政策とは言い難い。
私の年代50代超は80代以上の病気がちの両親を抱えて、医療や介護の現状に不安を抱いている。病院のお世話になることも多く、現実に直面する関心事である。頼りにする医師、看護師の待遇を改善するために、消費税が10%を超えても仕方がないと納得する気持ちを多くの国民は持っているのではないか。
麻生政権は、景気が回復したら消費税率を上げると言っていたが、現在の医療従事者の待遇改善を根本から行うために消費税を10%にする、といって衆議院選挙を戦ったらどうだろうか。
景気が回復するという判断はあいまいで、消費税アップで国民の反発を買うだけだが、多くの国民が頼っている医療機関の待遇改善が進むのであれば、国民も納得しやすい。
民主党の鳩山党首の基本理念に対抗して、具体的で国民に負担を強いる医療改善を強くアピールすることで、麻生政権は小泉劇場ならぬ麻生劇場を演出できるに違いない。
次の衆議院選挙に勝利できるかどうかは、麻生総理が国民にアピールし消費税アップも受け入れるような大胆な政策を打ち出せるかどうかにかかっている。

GMの破産

40年前の学生時代にFORDのMUSTANGを見かけると、いずれこの車に乗ってみたいとあこがれていた。FORDは倒産していないが、ライバルのGMは昨日6月1日に破産申請をしたと報道されている。GMのキャデラックは豪華な車の代名詞として知っていたが、高価すぎて乗りたいとは思わなかった。
日本の車が米国に進出した20年から30年前には、日本車が米国進出を試みて苦労する話がたびたび紹介された。印象に残っているのは、卵型のスバルと米国の大きな車を対比させて、日本車をけなしている広告があったことだ。たぶん日本中に衝撃を与えたのは、日本車を米国人がたたき壊しているニュース報道画像だった。
当時米国政府を動かして日本の自動車会社の輸出自主規制につなげたのは、米国自動車会社のロビー活動の成果だったのだろう。このことは確かに強大な米国産業の成果だった。しかし昨日のGM破産の遠因であることも事実に違いない。
自動車も含めて製造業が競争する本質は、商品開発をささえる技術である。技術の研さんを脇に置いて、製造産業が既得権を確保するために、政治活動を利用する。その場しのぎを繰り返すことが、国際競争力を低下させ、その国の製造業を疲弊させる。
GMの例は、中国やインドがこれから技術力を向上させて日本を追いかけ追い抜く局面に入りつつある現在、日本企業と日本政府に肝に銘じて欲しいい。単に安い労働力を海外に求めるだけの製造産業にはこれからの時代を切り開く競争力の展望が開けない。
オバマ大統領は新しいGMが素晴らしい会社に生まれ変わると演説しているが、私個人は懐疑的だ。競争力を育てる環境にいなかった技術者がそのまま残っても何もできない。会社は商品も生産するが、人材も育てる。人材を育てなかった会社の復活はほとんどありえない。