人のコミュニケーション能力
理工学部3年生対象の授業「情報ネットワーク」で毎回レポート課題を出している。今回の課題は「人(動物)のコミュニケーション能力について機械と比較して優れている点について400字程度で説明せよ」とした。
理工学部専門科目の授業では、ともすると技術の話ばかりになりがちである。技術の詳細を教室で説明しても学生は身近に感じていないようだ。教室で行う講義内容について興味を持ってもらうには、学生即ち「人」と技術との関わり方について考えてもらうのが良いだろうと考え、この課題を出した。
レポートを提出した学生の大半が「人の感覚や感情を伴うコミュニケーション」について機械に比較して人が優れているとレポートしてきた。
『人間にあって機械には存在しないものと言えば常套句であるもののやはり「感情」である。
例えば単純に遠くのものを捉える、と言う点におけば人間の目よりも機械の目(レンズ等)の方がはるかに能力を持っている。比べるまでもない数値差がそこにはある。
しかしコミュニケーション能力においては、単純に視力の善し悪しがそのまま能力に反映されるわけではない。話し手の仕草や表情を読み取る、などの要素をいかにして捉えるかが重要になってくる。これはまさに機械が苦手とし、対して人間はもっとも得意とするのである。
例えば話し手が笑みを浮かべながら話をしている。すると機械はその笑みという表情をストレートに認識し、話し手が楽しそうにしている、と捉える。だがその笑みが含みのある笑み……苦笑いだとしたらどうだろう。人間であればその笑みが苦笑いであることを多少なり察することができるのである。それにより、話し手の意図を深く理解できるのだ。この話し手は、何か複雑な事情を抱えているのではないか、など。
よってコミュニケーション能力においては、まだまだ人間の目の方が機械のそれよりも優っているのである。』
このレポートを読んで安心した。「情報ネットワーク」の授業の意図を十分理解できる学生だ。
最近の大学生は携帯を片時も手放さないので、携帯に縛られている学生が多いのではないかと感じていた。
「技術が人を拘束するのではない。人が技術を活かすのだ。」このことを授業を通じて多くの学生に理解してほしい。
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