オランダ旅行(10)

エッシャー博物館がデンハーグにある。エッシャーは現実には存在しないような仕組みを精密な絵の中に書き込んで有名になった版画家だ。エッシャー博物館を目指してオランダの国会議事堂から小さな公園を通った。公園では本と骨董品の市が開かれていた。
入場料を支払ってエッシャー博物館に入ると、バッグなど大きな荷物入れは地下のロッカーにしまってくださいと言われた。ロッカーは無人で確か1ユーロを使って鍵をかける。後で荷物をだすときには1ユーロは戻ってくる。地下にはカフェもあった。
エッシャーの作品を展示している1階のフロアーに入ると、最初にリトグラフの原理を説明した展示があった。作品はち密で、メガネをはずして目を凝らして見たが、よくまあこのような細かな作業をしたものだと、私の肩が凝った。エッシャーの作品を批評することができるほど知識は無いが、現在のコンピュータが得意そうな幾何学的な作品が多かった。白と黒の対照的な図の配置や、目線が繰り返し動く図柄など、子供のころ見たことがあった。
エッシャー博物館は展示に工夫を凝らしていた。エッシャーが作成した作品は動かないが、最近の3次元コンピュータグラフィック技術を多用して楽しめるようになっていた。目の錯覚と写真撮影技術を併用して、同じ写真のなかで子供を大人より大きく写すコーナがあった。5ユーロだったと思う。写真はその場で印刷してもらったが、同時に電子ファイルで自分あてのメールアドレスに送ることができるようになっていた。
エッシャー博物館は中央に広い階段があり、そこに奇妙な格好をした照明がつりさげられていた。
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エッシャー博物館階段室の電飾
中央上部の壁に掛けられている絵柄は、エッシャーが好んで描いた手に持った「球状の鏡」に自分が映っている様子のスケッチである。

オランダ旅行(9)

アムステルダム市内の比較的大きな公園(フォンデル公園:Vondelpark)をジョギングした。フォンデル公園はアムステルダム中央駅から南西方向3ないし4kmにある。公園内部を一周する歩道と自転車道が整備されており、ところどころ小さな散策道に分かれている。池や水路もかなりの面積を占めているので、鳥が自由に生活している。鴨だと思うが小さな雛が多数親と一緒に動きまわっている可愛い風景をしばしば目にした。
この公園は東西方向に細長く、一周するとだいたい4キロメートル弱だと思う。公園内は自転車で行き来する人が多く、散歩やジョギングは少なかった。私は砂利を引いた歩道をジョギングしたが、舗装した自転車道をジョギングしている若い男性3人組もいた。ジョギングは自転車道と歩道とどちらを選ぶべきかと若干迷ったが、公園内をパトロールしている車が通りかかっても何も言われなかった。ジョギングのスピードが遅いので、歩道でOKなのかも知れない、と一人で納得した。
公園の中に軽食カフェが二カ所あった。大きなカフェでは家族連れが居て、子供の遊び場が備えられていた。どちらも簡単なサンドイッチと飲み物を自分でカウンターで注文し、空いているテーブルに座ってで食べる形式だった。
公園にはほとんどの道路から出入りできるようになっており、多くの人が利用する開放的な配置だった。夜も沢山の自転車が利用しているのかも知れない。ジョギングを楽しんだ時に小雨が降っていた。木陰に入ればそれほど濡れない。日比谷公園の音楽堂をイメージしたが、屋外で音楽を楽しむイベント広場もあった。
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公園で見かけた鳥

オランダ旅行(8)

デンハーグはアムステルダムのスキポール駅から列車で30分ほどのところにある町だ。デンハーグセントラル駅で公園側に出て、徒歩20分ほどで観光の中心広場に出る。いつものように昼ごろ到着したので、広場のカフェで昼食をとることにした。広場の日差しがあたる場所に沢山置いてあるテーブルにはカフェの客が多数陣取っていた。
我々は日差しが陰になっているカフェ側の店先のテーブルに座った。カフェの給仕係りの若い女性が3,4名忙しく動き回っている。店側の席を選んだのは訳がある。我々年配者でなくても旅行中はトイレが気になる。オランダではカフェでトイレを利用するのが一般的なようだ。このカフェでは誰にも尋ねることなくガランとした店の中を奥の方に進むと椅子の上にトイレと書いた表示があった。かなり大きなトイレだった。用を済ませて、そのまま元の席に戻ったが、カフェで何も注文しなくてもトイレは利用できそうだと感じた。
ちなみにオランダで「コーヒーハウス」という言葉は、麻薬販売の店ということだと聞いた。用心するにこしたことはない。
オランダではトイレ利用に0.5ユーロを支払う場合が多い。ロッテルダム駅のトイレでは0.5ユーロを入れてゲートを通過した。その様子を掃除係りのおばさんが見ていた。別の小さな駅ではプラットフォームにトイレがあった。プラットフォームを何回も行き来して分かったことは、有料トイレの扉を開けるのにコインで0.5ユーロを投入しなければならないということだった。やっと見つけたトイレだったが辺り一面水滴で濡れていた。自動的にトイレ内部を掃除する仕掛けではなかったかと思うが、とにかく故障のようで0.5ユーロを支払ったものの、満足に使うことはできなかった。
列車にもトイレがついている。多分無料だが使わなかった。トイレの臭いが伝わってくる列車の席があった。ヨーロッパを旅行するとカフェでのんびり談笑しながらコーヒーやビールを飲んでいる風景を良く見かける。トイレが使えるからカフェが繁盛しているのかも知れない、と思ってしまった。
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オランダ旅行(7)

クレーラ・ミューラ美術館(Kröller-Müller Museum)はアムステルダムから北東方向に車で1時間ほどのところにある。広い国立公園デ・ホーヘ・フェルウェ(Nationaal Park De Hoge Veluwe)の中だ。アムステルダム町中のゴッホ美術館も見たが、クレーラ・ミューラ美術館のゴッホ絵画も見ようと出かけた。
森林の入口でチケットを購入した。平日の昼間だったが好天に恵まれたせいか、家族連れが多く来ていた。門を入って直のところに駐輪場がある。全て同じタイプの自転車で自由に公園の中で使うことができるという。
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国立公園に備えられている自由に使える自転車
自転車には手で操作するブレーキがなく、ペダルを逆回転させるとブレーキになるという。到着した南側公園の門から博物館までは6キロメータ程の距離があるので、誰もが自転車に乗る。大半の自転車後部には幼児を乗せる椅子が備えてあった。オランダ人は座高が高いので、自転車の椅子も位置が高い。ブレーキ操作を誤ると転倒する恐れもあるので、座席を低くして自転車をこいだ。
仮舗装の狭い自転車道が延々と公園の中を続いている。自転車は右側通行で、我々の自転車は日本並みにゆっくり走っているが、後ろからオランダ人の自転車が次々と追い抜いていく。こちらは邪魔にならないように後ろから来る自転車に気をつけなければならない。
ペダルを反対に回してブレーキをかける練習をしながら走った。ペダルの回転で自転車が前に進むが、回転を停止しただけではブレーキはかからなかった。少し逆回転させるとブレーキとなる。気がついたのは、ペダルの回転を止めてブレーキの準備をするには、前後のペダルを水平にしておかなければならないということだった。
クレーラ・ミューラ博物館はガラス張りの近代的な建物だった。軽食の食堂があり、土産物屋もあった。目的とするゴッホの絵画はフラッシュを使わなければ撮影が許可されていた。目にするゴッホの絵は暗い印象だが、写真に撮るとディスプレイには明るく映り、印象が大きく変化するのに驚いた。博物館の中には彫刻を展示した庭が有った。また日本の仏像が展示されていた。モダンな芸術作品も多数あったが、あまり面白いとは思わなかった。
博物館見学の後も自転車で森の中を走り回った。全部で2時間を超えたかも知れない。その後3日経過したがいまだに足の筋肉に張りがある。ジョギングでは2時間走っても問題ないのに、自転車では別の足の筋肉を使うようだ。町中で見かける自転車にはハンドブレーキが備えられているものも多い。公園で貸し出す自転車やレンタサイクルでは足でブレーキをかける仕組みを採用しているのかも知れない。

オランダ旅行(6)

キンデルダイク(Kinderdijk)の世界遺産には19基の風車があるという。昼時でお腹がすいたのでレストランに入ろうとしたが、おそらく月曜日のせいで扉が閉まっていた。仕方なく世界遺産入口の小さなお店でサンドイッチとコーヒーを食べることにした。
風はそよ風程度で風車が回っているのは2基だけだった。多くの旅行者が自転車を使って風車巡りをしていた。我々は徒歩で散歩することにした。珍しく夏の暑さを感じる散歩だった。水路には白鳥夫婦と既に親に近い体格だけれども羽が灰色と茶が混じった子供が4羽ほど泳いでいた。
ガイドブックによると週末には多くの風車が回っているようだが、この日は2基だけで、散歩道路の右手にあった。二つ目の風車は有料で見学できると表示があり、チケットを買って風車の中を見学した。この風車は見学用で、現在誰かが住んでいるわけではなかった。昔人が住んでいたと思われる部屋は狭く、子供が寝られる程度のベッドが二カ所にあった。
見学中に風車は時々動きだしてはまた停止した。最初は風車だけが空回りしているのではないかと予想していたが、実際に風車の回転が垂直の回転軸に伝わり、さらに水をかき出す水車の回転につながっていたことを確認した。残念ながら水車の回転は勢いがなくて、水を本当にかきだしているとは思われなかった。説明書きでは1メートルの高さへ水を排出するとあった。写真は、左側の歯車が風車の回転で回り右上の歯車に力が伝わって垂直に配置されている太い木の芯が回転する仕組みを撮影した。木製の心棒は一辺が40センチ以上で、この心棒を手に入れるだけでも手間がかかったのではないかと感じた。
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オランダ風車の歯車
更に散歩をつづけたら水路を走っていた子供を含めて6名ほどが乗ったボートが接岸した。水路を渡る橋のたもとにパラソルを広げたアイスクリーム屋があり、年配のおじさんが座っていた。ボードからお父さんと思われる男性が下船し、アイスクリームを買ってボートに乗っていた家族に渡した。日差しが強かったので、2ユーロと書いてあったアイスクリームを食べたくなった。「アイスクリーム一つ」と頼んだら、小さなコーンカップに小さなアイスクリームスプーンで何回もすくって乗せている。10ユーロ札を出したら5ユーロのお釣りが戻ってきた。「???」と思ったが、何も聞かずにアイスクリームが溶ける前に食べることに専念した。

オランダ旅行(5)

風車風景の世界遺産キンデルダイク(Kinderdijk)まで船で行くことにした。ロッテルダム駅の周辺を歩き回って旅行者向けのインフォメーションを見つけた。ロッテルダム駅は駅前で大規模な工事中だった。船がどこから出るのか分からないので、インフォメーションで地図に印をしてもらった。徒歩で30分程度の距離だったので、散歩しながら水路沿いの道を船着き場まで歩いた。Waterbusという会社の乗り場は大きな橋のたもとにあり、容易に見つけることができた。
乗船し船が出発してから切符売りの人が船内を回っていた。船の旅は30分程度で、川は静かで船が波のうねりで揺れることもなく快適だった。船内は数十名の客がいたと思うが、ガラガラだ。二つ目の船着き場で下船し、同じ場所でキンデルダイク行きの別の船会社の船が到着するのをまった。写真はその別の船会社に乗船した時の風景である。船着き場にはオレンジの文字で表示する電光掲示板があり旅行者に分かりやすいシステムを採用していた。
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キンデルダイク行きの船上風景
別の船をまっている間20分ほどあったが、自転車で旅行している風情のオランダ人年配男性が話しかけていた。オランダなまりが強くて英語が良く分からなかったが、キンデルダイクに親戚が住んでいるので、訪問するという。小柄だが自転車で鍛えたと思われる筋肉がしまった頑丈そうな体格をしていた。太陽の日差しが強く、肌が焼けるのを感じた。
自転車が多数乗船した。自転車を列車に乗せるのも船に乗せるのも当然という生活だ。今度の船は小型で座る椅子もなく、椅子と思われる板に座ったら濡れていた。ほとんどの客は立ったままだ。船は直に目的地に到着した。小さな桟橋をわたって陸に降り立った。先ほどの自転車のおじさんがあそこに妹が迎えに来ていると手を振っていた。
川沿いに土手をしばらく歩いて世界遺産に到着した。

オランダ旅行(4)

初めてアムステルダムに到着して鉄道、地下鉄(メトロ)それに市電(トラム)を使ったのでいくつもの失敗を経験した。最大の失敗は40ユーロ(実質はその半分)を自動的に没収されたことだ。
アムステルダムからロッテルダムへの日帰り旅行を計画した。行きは鉄道の切符売り場で片道切符を購入したが、帰りはメトロのカードを使って鉄道の切符を購入することにした。そもそもメトロのカードでは鉄道の切符の代わりにはならないと思っていた。しかしロッテルダムのメトロインフォメーションに大変親切な男性が居て、予め20ユーロをメトロのカードにチャージしておけば電車の切符も購入できると教えてくれたことからややこしいトラブルが発生した。そのロッテルダムメトロの何とかという地下鉄の駅で、二人のメトロカードに計50ユーロをチャージした。ロッテルダム駅のインフォメーションに居た黒人の女性も同じように「買えるよ」と教えてくれたが、実際に試してみるとうまくできない。
分かったことは沢山電車の切符自動販売機が並んでいるが、メトロカードの印がついている販売機は一部だけだということだ。そこでメトロカードをかざして列車の切符を買うための「アクティベート」操作をした。アクティベートが無事できたのでこれでOKと考えてロッテルダムのプラットフォームに上り、電車を使って目的の無事ダイベンドレヒト駅に到着した。今度は改札口をでるチェックをする必要があるだろうとわざわざ鉄道とメトロカードのマークがついた出口でカードの印をタッチした。
ところがそのカードを使ってメトロの乗車すると残金がずいぶん減っている。おかしいとアムステルダム南駅の切符売り場で尋ねてみた。一つ目の売り場ではカードから利用明細を印字してチェックした後、駅の奥にあるカウンターに問い合わせなさいと言われた。奥のカウンターでは男性駅員が散々繰り返し印刷記録を見直した後次のように説明があった。
確かにロッテルダム駅でアクティベートしているが、同じロッテルダム駅で「チェックイン」していない。ダイベンドレヒト駅でチェックアウトしただけなので、ペナルティとして20ユーロが自動的に引き落とされたのです。
我々は初めてオランダを旅行したのでロッテルダム駅でアクティベートすればそれだけでOKだと考えていた。差額を返してもらうことはできないのですか、と質問したら、カウンターに置いてあった名刺大の印刷物を指さして、返金して欲しければここへ電話してください、と言われた。これで万事キュースである。電話をかけて返金交渉をする気にはなれなかった。まじめにダイベンドレヒト駅でチェックアウトしなければ、無賃乗車になってしまうが二人で40ユーロを没収されることはなかった。このような失敗は旅行にはつきものだと諦めることとした。
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オランダの高速鉄道