カリフォルニア旅行(6)

カリフォルニアでの国際会議に参加した動機は退職後の仕事の芽を探すことだった。一人あるいは複数人程度の小さな企業でできるITをベースにした現代の家内工業をイメージしている。仮想現実VR関連の3種類の学会に順に参加した、最初は3DUIで3次元ユーザインタフェース分野、二つ目は仮想現実(VR)あるいはARと呼ばれるWEBカメラで撮影した現実画像の上にCG画像を重ねる技術、そして三番目はi3Dという名称の学会で最新のゲーム向け画像作成技術の分野である。3種類もの類似学会が連続して同じ場所で開かれる理由は、世界中からこの分野の技術者が参加するので、参加者を集めやすいからであろう。もしかすると3月はカリフォルニアのホテル閑散期かも知れない。
学会の参加者はVRが400名程度と最も盛会であった。ゲーム分野のi3Dはバンケットでワインを飲むことができた。隣に座ったドイツ人の推測では、ゲーム業界から寄付を集めているので3つの学会のなかで最も資金的に恵まれているのかも知れない。ペーパ発表ではソフトウエア処理の細かな技術の説明で個人的には興味を持てなかった。
3DUIは個人的にもっとも興味をもった学会である。現在のコンピュータインタフェースはキーボードやマウスなど2次元つまり2Dであるが、今後は3Dにしようと新しいコンピュータと人間のインタフェースを考える学会である。主流は人の動きをリアルタイムで収集する仕組みで、動きを観察したい体のポジションにピンポンボールより少し小さめの球状の装置をコムバンドで装着し、周囲に設置した測定器を利用して人の動きを詳細に観察する仕組みである。学会では企業による高価なこのシステムのデモが行われていた。価格は一式1000万円の単位なのでこれも個人的には家内工業には向かないと判断した。興味をもったのはマイクロソフトのゲームマシンXBOXに接続するKINECTである。展示ではキネクトを使って複数のデモが行われていた。リハビリに利用する一種のゲームが2種類、医療教育を目的とした人体の断面を見せるデモが1種類だった。KINECTはITの家内工業には最適と判断した。
VR2012風景
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カリフォルニア旅行(5)

ホテルでエレベータに乗ったとき恐らく米国人の年配ご夫婦が声をかけてきた。日本のどこに住んでいるかという。東京と答えた。昨年の3月11日東日本大震災でその後どうなっている?と質問された。あらゆることに時間がかかっている、と答えた。エレベータに乗っている短い時間だったが、頑張ってね!と言ってくれた。
参加したVR(Virtual Reality)会議が企画したバンケットでも、隣に座ったドイツ人から福島の話がでた。日本では原発がほとんど全て停止し、これから迎える夏は大変だろうと話した。ドイツでは原発を廃止することになったと聞いているが?と尋ねると、グリーンパーティは矛盾する政治活動をしているという。原発については廃止を主張しているが、同時に新しい発電所を作るための土地造成についても環境を守るためと言ってこれも反対しているのだそうだ。福島の原発事故は世界中から注目を浴びている。ホテルのテレビ45チャネルではNHKテレビの国際チャネルが流れていた。カンボジアから日本に難民として非難してきた男性が津波被害の被災地で活動している様子が紹介されていた。
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74号線の展望台から見たLake Elsinore

旅行中の楽しみは食事だ。旅行中手軽な食事場所を探すとほとんどがメキシコ料理だった。タコスと呼ぶ餃子の皮を4倍くらい大きくして焼いたトウモロコシの皮で色々な野菜を包み、スパイシーな味付けをしている。一つ6ドル程度の料金で、他にドリンクは?と聞かれる。日本のフリードリンクと同じような仕掛けだが、プラスティックの大きなコップを渡され、自由にマシンからコップに注ぐ。マシンはコカコーラが独占しているようで、コカコーラとスプライトが大きな顔をしており、好みのドリンクが無い。日本でもコカコーラがマーケットシェアを伸ばしている印象だが、カリフォルニアと同じ状況になって欲しくないと感じた。ドリンクは3ないし4ドルで日本のフリードリンクに比べると高い。ビールも同じ程度の料金なので、地ビールを飲んだ。サンフランシスコのビールはキャラメルが入っているのかもしれない甘く粘っこい味だった。

カリフォルニア旅行(4)

サンタアナで車を借りて海岸はどちらの方向と聞いたら、すぐ行けるよという返事だった。一般道をまっすぐ走って直に海岸が見えてきた。気候は涼しいが太陽の光が強くまぶしく感じる。海岸線にはいくつものビーチが並んでいた。ビーチごとに砂の色、海の色、海岸線の陸地の岩、海岸線に並んでいる家々の形、海岸線の崖の上に並ぶ高級住宅街の街並みと少しずつ違いがあった。ビーチを歩いていると、ここはプライベートビーチなので、所有者の許可が無いと入れないという看板があった。知らずに歩いてしまったがビーチの所有者に巡り合ったら何か言われたのかも知れない。
ビーチに近づくと標識があった。海の生き物を採取してはならないという表示だった。海辺では肌を焼いているカップルがいた。大きな鳥が海に浮かんでいると目を凝らしてみるとペリカンだ。ペリカンの集団が飛んでいた。サーフボードを大きくしたような板の上に立ち、長い櫂で漕いで海の上を歩いている(実際には立ったまま)複数の若者を見かけた。海が穏やかだからできる海のスポーツで、そのまま浜辺に到着し、そこで昼寝をしていた。
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カリフォルニアの海岸線

船が沢山渓流されている港に近づくと、道路が狭くなり、至る所の道路わきに車が駐車している。駐車ができる場所には道路に四角い白枠が書かれていて、標識には曜日と時刻で駐車ができる条件が表示されていた。ビーチの人通りが多い場所ではレストランに来たお客の車が沢山道路わきの有料駐車場を使っている。メータに25セントのコインを入れると15分の駐車時間が表示される。さらにコインを入れると駐車可能時間が増える。食事の後にビーチを散歩しようと考えて後からコインを追加した。
山道をドライブした。森という表示でもほとんど大きな木を見かけない。カリフォルニアはその昔は単なる荒地だったのだろう。山道は片側1車線で急カーブが沢山あった。日本の山岳道路とおなじような印象だった。追い越しはほとんど禁止のようで中央に黄色い連続線が引いてあった。時々ターンアラウンドが何マイル先にあるという表示を目にする。遅い車はターンアラウンドで車を右に寄せ、後続の車を先に行かせるのがルールのようだ。
山岳道路を走っていてまた道を間違った。途中でインフォメーションセンターの標識を見つけたので立ち寄って道を教えてもらうことにした。このインフォメーションセンターはトレッキング旅行者が立ち寄る場所だった。料金を支払って山に入る。センターは標高が1000メートル程度だったが、なだらかな山々で眺望が広々としていた。

カリフォルニア旅行(3)

レンタカーでサンタアナの道を走った。右側通行だから注意しなければと慎重に他の車の様子を見ながら運転だ。信号のある交差点で赤信号でも右折している車を見つけた。左から車が来なければ「右折可」のルールで曲がれるようだ。右折可の表示は見当たらない。赤信号でも交差点に進入して右折するのは勇気が要ったが段々慣れてきた。
道路は広くショッピング街にはどこでも広い駐車場がある。ホテルの立体駐車場は一泊10ドルかかった。通常価格は20ドルだそうで、会議参加者へのディスカウントだそうだ。
ルート5の高速道路を何回か走った。高速道路は最高65マイルで、ほぼ100キロメートル毎時でそれほど速くないが、それでも最初は若干の恐怖感があった。ルート5に乗るときは普通の道路を走っているときに道路標識や道路標示にサウス方面、ノース方面の表示がある。その車線に乗ればそのままルート5に入るのでわかりやすい。
ルート5から一般道路に降りるときは、走行中に頭の上に次々に現れる道路標示とにらめっこが必要だ。ルート5と交差する道路の名前がひとつ前の道路付近で表示されている。道路の名前を調べるために道路際に停車できるのかどうか分からなかったので、走りながら道路地図とにらめっこだ。ルート5の側道で停車している車を何台か見かけたが、故障など非常事態以外の停車は認められていないと感じた。
英単語で色々な道路名が標示されすぐに記憶することが難しい。道路名と地図上の位置関係が頭に入っていないと正確に運転できない。ディスニーランドなど有名な観光地名は高速道路上に標示が出てくるが、ホテルに戻るときは道路名しか手がかりが無く、何回か道に迷った。幸いマッカーサー道路がホテル周囲を走っていた。マッカーサーは第二次世界大戦で日本を占領した元帥の名前なので、容易に覚えられた。ホテル付近で道に迷うとマッカーサー道路を見つければホテルに帰ることができ、マンカーサー元帥に助けられた気分だった。

カリフォルニア旅行(2)

ロサンゼルス空港から目的地のサンタアナのホテルまで乗合シャトルで行くかタクシーで行くか空港で判断に迷った。空港到着ロビーの案内所で聞くと、そばの出口を出て左側に乗合シャトルがあると教えてくれた。いくら?と聞いても分からないようだった。扉の外に出て標識を見てもどちらに歩いていけばよいか分からない。二人で迷って立ち止まっていると案内所で話しかけた年配の男性が出てきて、指さして教えてくれた。
シャトルの停留場には青い作業服を着た男性が居て、ホテルの名前を告げた。男性は携帯電話を二つ持って連絡を取り、表形式のメモに手書きで書きこんでいる。次々に青く塗られたバスが到着した。シャトルバスは10人乗り程度の大きさで、行き先地域別にお客を拾って出発する。しばらく待って、20分ほどだったと思うが、サンタアナ方面のシャトルに乗った。お客は我々を含めて日本人4名だった。最初に下車した若い男性は住宅街で降りた。ホテルでなくても住所を教えると連れて行ってくれるようだ。
次に我々のホテルに到着した。
ホテル滞在後直にレンタカーを借りることにした。国際免許証は持って行っていたが、最初は米国で運転することに躊躇した。けれど米国では車がないと行動に制約が多い。仕方なくレンタカーを借りることにした。ホテルのフロントにレンタカー会社直通の電話があった。土曜日の午後と日曜日はオフィスはしまっているとメッセージが流れた。平日でも9時にならないと電話はつながらない。不便なレンタカー会社だ。
朝10時ころレンタカー会社の車が迎えに来てオフィスに行った。借りた車はホンダアコードだった。乗るときにガソリンメータがほぼゼロになっている。自分で近くのガソリンスタンドにいってガソリンを入れるように言われた。初めて米国で車に乗るのでガソリンの入れ方が分からない。訳を話してレンタカー会社の人にガソリンを入れてきてもらった。タンクの半分をメータが指してた。レンタカー会社は、ガソリンを満タンにして車を貸すということは考えないようだ。
結局自分もガソリンスタンドで給油する必要が生じた。セルフが普通の様で、スタンドに入ったが給油の仕方が分からない。最初に入ったガソリンスタンドは給油マシンにお金を受け付ける機能がついていた。20ドルを入れて給油した。2番目に入ったスタンドは、我々が横付けした給油マシンに張り紙がしてあり、この機械は店の中でお金を払うこととあった。店にいって20ドルを支払ったら給油できた。3番目に入ったスタンドはマシンがお金を受け付ける機能がなかった。お店に行ってマシンの番号を知らせお金を20ドル支払うことで給油ができた。
安いガソリンスタンドを探すなどという心の余裕はまだない。給油ができただけでホッと一安心だ。

カリフォルニア旅行(1)

最近のバーチャルリアリティ技術を勉強する目的でカリフォルニアの学会に参加した。そこでボスニア出身の女性二人が家内と雑談している。ボスニア出身の女性一人は現在カリフォルニア在住の研究者で日本人のボーイフレンドが居るそうだ。もう一人は子供が二人でデンマークに住んでいる。
デンマークでは消費税が25%だという。車を購入すると200%の税金がかかるので、自宅には車がないという。多分所得税の話だと思うが60%の税金もかかるという。その代わり教育費は大学まで無料で国が税金で負担している。平均的にはデンマークの家庭には子供が3ないし4名居る。赤ん坊が誕生するとお母さんとお父さんが交代で育児をするのが常識で、会社では男性社員が育児休暇を決められたルールどおり取得しないと、仕事ができない人と同じ扱いになる。
選挙があるとときどき税金を安くすることを公約にかかげる政党が出てくるそうだが、デンマークでは大半の人が税金を安くすることに反対だという。税金を安くしたら誰が育児や教育費用の負担をするのか、個人が負担するようになったら子供を育てることができない、というのが税金を減らすことに反対な理由だそうだ。
最近の若者のお父さんは、一世代前のお父さんの様にはなりたくないという。仕事一途で家庭を顧みないお父さんはデンマークでは過去の話になっているようだ。
お父さんは家庭で育児に積極的なのが常識だそうだ。
翻って自分のことを考えると、すでにデンマークでは昔話になった家庭とは縁が薄かった昔のお父さんだ。息子の家庭では、家族との交流を大切にしているがデンマークのお父さんには足元にも及ばない。日本の社会は1ないし2世代、デンマークに後れを取っている。日本社会、あるいは日本の会社組織が古い体質を温存していて、そのため少子化社会から抜け出せなくなっている。日本を立て直すため、消費税の問題も、少子化の対策もデンマーク社会から学ばなければならない。