カナダ旅行(4)

小雨の一日だった。月曜日は博物館が閉まってる。トロントの金融街にある地下街を散歩することにした。YONGE通りの交差点DUNDASにEATONセンターの入口がある。EATONセンターの入口かと思ったが入っていくと下りのエスカレータがあり、地下にレストラン街がある。試しに地下レストラン街をそのまま南方向に歩き続けると、同じ方向に歩く人が多い。大体の方向感覚で進むとところどころ通路が狭くなって地下鉄改札口の脇を通って別のビルの地下に入ったり、そのまま道路の下をわたって次の区画のデパートにつながっている。ほとんどのビルの地下には真ん中にテーブルが並べられて周囲にお店が連なっている広場が配置されている。地下一階は衣料などのお店、地下二階が食堂街となっているCOLLEGEのスーパでは夕方3回目の食品買い出しをした。
小雨のせいもあるかも知れないが地上よりも地下通路の人通りがにぎやかである。地下通路地図と小さな色分けされた東西南北の表示が天井に配置されているが、初めて散歩するとどちらの方向を向いているのか分からなくなる。一度は地上に出てビルエントランスの椅子に座って地図を眺めていたら、若いサラリーマン風の男性が何処に行きたいのかと声をかけてくれて、方向を教えてくれた。二回目は地下を散歩しようと道を選んだはずなのに地上への階段に行きついてしまい、壁の通路案内を見て地図と見比べていたら顔の黒い年配の女性が声をかけて方向を教えてくれた。
石造りの立派な何かのモニュメントと思われる建物に入っていくと、入り口で荷物検査があった。確か昔の市役所と思っていたら、手錠をかけられた若者が警察官に付き添われて歩いていた。どうも裁判所に入ってしまったようだと気が付いて、あまり長居をせずに外に出た。砂岩で外壁を囲った趣のある建物で、その隣に現在のモダンな役所があった。こちらにも入ってみると、広々とした空間に事務受付の場所がところどころ配置されていて、日本の役所のイメージとは大分異なった。入口付近には小さな図書館があり、50名ほど席に座って読書やノート取りをしていた。
東方向に大分歩いてThe Distillery Districtを訪れた。その昔の醸造所建物を家具店、チョコレート店、ビールを飲ませるレストランなどに生まれ変わらせて観光客を集めている場所のようだ。敷地内には高層ビルを建築中であった。昔工場で使われたベルト駆動のモータなどがモニュメントとして建物内に展示されていた。
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醸造工場地区のお店街に陳列されている昔の大型機械
沢山歩いて疲れ果てて寝込んでいたら、真夜中午前2時に火災警報にたたき起こされた。9,10,11階のどこかで火災を検知器が動作したと館内放送が流れた。その後火災警報の原因は特定されたと再度館内放送があり、元の静けさが戻った。
トロントの中心街の散歩も3日めで、月曜日の今日は街に活気があった。最初の日にオンタリオ湖に面した場所は雑然としていると感じたが、理由は路面電車を撤去して街並みを作り直しているからだと知った。地下鉄駅の標識が見えなかったのも、暗くなるとSUBWAYの標識が点灯されているのに気が付いた。控えめな配色の標識で、日本の出しゃばりな宣伝になれた目には識別ができなかったようだ。中心街は高層ビルが集中しているがほんの数キロメータあるくとトロント大学の学生宿舎が並んでいる。伝統的で綺麗なイギリス風街並みを大切に維持しているようだ。

カナダ旅行(3)

天気予報は午前中晴れ午後曇りだった。ホテルで昨晩予約したナイアガラツアーに参加した。バスは市内のあちらこちらでお客さんを集めるので出発まで時間がかかっていた。ガイドは私と同じ年代、教師を退職してガイドをしているようだ。参加者リストが紙ベースで参加者のチェックに手間取っていた。ナイヤガラまではバスで1時間半。最初に駐車場に入り1時間の自由見学場所がカナダ滝だった。一番の見どころで大量の水が目の前を流れ滝壺に落ちていく。滝壺からは水滴が霧状に舞い上がって、風向きによっては見学者に降りかかる。滝壺ツアー客が青い合羽を着た船が滝壺ツアーをしている様子が眼下に見える。
バスが連れて行った次の駐車場からはアメリカ滝が近くで、先ほど上から眺めていた滝壺ツアーの船に乗った。アメリカ滝の周辺では数多くのカモメが飛来していた。その後は土砂降りの雨の中に入っていく感じで、濡れた眼鏡越しで雄大な滝を下から眺めていたが、ただひたすら船が戻るのを我慢して待っていた。
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ナイアガラの滝
年間1500万人の観光客が訪れるという。簡単な食事をとろうと土産物屋の横にあったハンバーガ展では客の応対をする若い定員が一人だけだった。まだ観光シーズンではなさそうだ。次にバスが向かったのはナイアガラオンレイクという観光地だった。途中しばらくの間ナイアガラ河を右手に見ながらバスが走る。河の流れは時速40キロでカヌーなどを楽しむのは危険と説明があった。河は断崖の底を流れており、向こう岸がアメリカで、アメリカ側の発電所が見える。落差は小さいが圧倒的な水量で発電しているようだ。アメリカ側の発電所には十数台の発電機が配置されているように見えた。こちら側にはカナダの水力発電所があり、送電線が道路の上をまたいでいる。更に車が進むと大昔に発生した地層のズレをアメリカ側の絶壁に見ることのできる場所でバスが一時停車した。50メートルほどの断崖がナイアガラ河の両岸にあり、その段差が滝を作り、発電に利用されている理由が理解できた。
ナイアガラオンレイクは小さなすこし気取ったお店が道路の両側に並んでおり、50分間の散歩を楽しむようにとガイドが説明する。少し歩き自家製パン屋の看板を見つけ、お店のなかでビーフパイを注文して食べた。レンジで温めてくれたが、ショッパさだけで我慢して食べたというのが実感だ。
ナイアガラオンレイクをバスが出発するとき小さな事件が発生した。年配夫婦2名がバスに戻らないまま、バスは次のワイナリーに出発した。ワイナリーでは最初に白ワイン、次に白、赤の貴腐ワインをテイスティングさせてくれた。既に天候が崩れ、雨が降り出し風が強くなり始めていた。テイスティングは白いテント屋根の下だった。味はいまいちの印象だ。試飲後にワインを販売している木造の店に案内された。店の中を歩いてワインを見ているふりをしたが、早々にバスに戻った。
ワイナリーが最後の見学場所でトロントに戻るはずだったが、2名の乗客を探すためバスはナイアガラオンレイクに戻った。結局見つからなかった。ナイアガラの景色は雄大、滝壺ツアーもそれなりに面白い経験だった。

カナダ旅行(2)

ほぼ12時間飛行機に乗ってトロントに到着した。69歳の年齢の割には体調良く乗り切ったつもりだったが、ホテルに到着するとさすが草臥れている。近くのスーパで食材を買い、夕食にして早々に寝てしまった。
翌4月27日土曜日は時差調整を目的に市内を歩き回った。旅先では天気と気温が気になる。朝10時ころでも冬の気配を感じる寒さで街を歩いている人は厚手のコートを着ている。午後14時過ぎになると両腕を出してTシャツ姿の若者が闊歩していて、私も初夏の日差しを感じた。草花も木も枝先に芽を準備しているがまだ春は来ていない。
ホテルの部屋に置いてあったガイドブックの地図を頼りに南方向に歩きオンタリオ湖のフェリー乗り場に向かった。YONGEストリートを歩いたのだが、地図には地下鉄路線を示す黄色い線が引いてある。しかし通りでメトロないしSUBWAYの文字を探してみても見つからない。不思議だ。見つけたSUBWAYは日本でもおなじみの軽食レストランばかり。道路は東西一直線、南北一直線の碁盤目の構成なので居場所はすぐわかる。大きな交差点ごとに交差点名が地下鉄の駅名として地図に記載されている。交差点で周囲のビルの入り口を調べると地下鉄への階段があった。大半の地下鉄入口は交差点角のビルの入口から入ることになっていて、道路には地下鉄の目立つ標識は表示していない。
オンタリオ湖フェリー乗り場周辺は道路工事で街並みは綺麗とは言えなかった。CNタワーに向かう西向きに少し散歩すると湖に面して沢山の船着き場があり、自転車やジョギングを楽しむ道路が整備されていた。案内板を見るとかなり長距離の遊歩道だ。CNタワーではシニア料金で350メートルほどの高さの展望台に上った。65歳以上はシニア料金で若干安くなる。こちらの顔を見てパスポートを拝見とか言ってくれたら面倒だけど、一方で若く見られているかも知れないと若干自尊心をくすぐられるが、何も無しにシニアだった。
CNタワーの展望レストランに到着したのが12時少し前。空いていたので昼食をとることにした。窓際でトロントの町全体が見渡せる。30年ほど前にもCNタワーから街を眺めたが、同じような眺望だった。東京の変化に比較して、トロントは変化が少ないと感じた。
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CNタワーから見たオンタリオ湖の空港
昼食後は4キロほど徒歩で北上しCASA LOMAを訪問した。トロントの街並みを見下ろす丘の上に建てられた富豪の館だ。小さなお城という印象で、99部屋あるという。シニア料金で入り、日本語のガイドマシンを借りた。各部屋に表示されている番号を入力すると説明する。このマシンは小さな携帯ほどのディスプレイが付いていて、説明の途中で昔屋敷で撮影された写真を表示する。あまりに説明が沢山なので途中からは見学をスキップした。
沢山歩いて足がジンジンしている。試しにDUPONT駅で地下鉄に乗ることにした。改札は分かったが切符の買い方が分からない。改札脇の係員が一人待機している場所でQUEEN’S PARKまで行きたいと話した。地下鉄のシニア料金は2ドルなので2ドルコインを見せたら、それを目の前の箱に入れて改札を通るように言われた。QUEEN’S PARKでは改札マシンの特別な操作は必要なくて、横に突き出た斜めの3棒を体で押して改札をでるだけだった。

カナダ旅行(1)

68歳の定年から1年が経過し、10日間のカナダ旅行を夫婦で楽しむことになった。大学を定年退職し1年程度で亡くなる先輩の事例を知っているので、自分がその時代に入ってどうなるか若干気にしていたが、1年は無事通過した。成田を4月26日18時半頃出発し、CA002便は同じ26日金曜日17時半ころトロント空港に到着した。ボーイング777/300という350名程度乗れる飛行機だったが満席だった。機内の食事は、出発して2時間後に夕食でメインディッシュは鶏肉とビーフのどちらにしますか、と聞かれた。魚料理は既になかった。座席が55E,Fと格安チケットなので仕方ない。飛行の中間地点ではカップ麺が配られた。普段カップ麺は食べたことがない。高血圧の薬を飲んでいる自分自身で警戒しなければならないのだが、結局全部食べて「塩分が強いけれど・・全部食べるとは」とあきれられた。トロント到着2時間前には朝食としてスクランブルエッグと丸いパンが出てきた。お粥もメニューにあったがこれも売り切れだった。
空港からはエアポートエクスプレスという市内の主要ホテルを巡回するバスに乗った。空港のインフォメーションで聞くと、扉を出てすぐ左側にバスの切符売り場があった。係員の年配の女性が片道切符と往復のどちらにするといいながら、往復切符を売りたがっていたので二人分80ドルを購入した。現金は受け取らずクレジットカードだけだった。クレジットカードのPINコードを小さなキーボードで入力するよう求められ、数年間は使っていなかったPINコードが思い出せるかどうか不安だったが、何とかなった。
トロントのホテルはネットで予約した。便利な時代だ。エクスペディアで一月以上前に予約しネットでクレジットカード支払いの処理をした。エアポートエクスプレスは空港を出て広い道路を走行したが、金曜日夕方6時過ぎの道路は両方向とも車の長蛇の列ができていた。中心部に到着するまで1時間ほどかかったが、ホテルのデルタチェルシーにやっとのことでついた。トロント一の大きなホテルと聞いていたので高級なイメージを描いていたが、実際には大衆的な人がゴチャゴチャ行きかっている。エレベータの反応が遅く、一台は壊れているようで、これも安いホテルを予約した見返りかなと思った。
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ホテルの部屋から見たトロントのダウンタウン
カナダに来たのは3回目で、前回は仕事で20年以上前だった。その時は会社の社員の身分で上司のお付きだったので、高級なホテルと高級な食事、それにお車でのお出迎えがあった。その当時の上司の年代はとっくに越しているが、いまだに若かった時の習慣で、ホテルに到着すると食品店を探しに出かけた。幸い大衆ホテルの周りには小さな簡易レストランが沢山あり、地下鉄の入口に入っていくと食品スーパがあった。これなら高級レストランで高価な食事をしなくても5日間滞在できそうだ。