運動が脳を復活させる(2)

224ページから高齢者の「認識能力の低下」について3ページほどの説明がある。
1995年に70歳から81歳の看護婦経験者18766名の女性に対して認識能力と運動との関係について調べた研究報告がある。成人時代に定期的に運動した人は年を重ねても頭脳が明晰である。頭脳の活動が明晰な女性の平均レベルの運動量は1週間に12時間のウオーキング、あるいは4時間のランニングであった。この調査を実施したWeuve氏は、一週間に1時間半のウオーキングでも同様の効果を実感できる、と述べている。
脳のニューロン活動について次のように説明している。
ラットの実験では脳細胞のneurogenesis(神経新生)は年齢とともに急激に低下する。どの神経幹細胞もいずれ死滅する運命にある。その利用割合は25%から50歳代で8%に減少する。さらに65歳で4%となる。
脳の容積についてはこのような説明だ。
人は40歳代から70歳まで10年ごとに平均5%減少する。そして70歳を超えると何らかの事情でその様子は加速する。
筆者の説明ではアクティブな人はこのような年齢による脳の働きの低下速度を穏やかにすることができる。脳の細胞が定期的に適度なストレスを与えられることは良いことで、より強いストレスに耐える準備ができる。運動することは脳内の細胞ネットワークに刺激を与えて細胞間につながりを作り成長させる。血の流れが良くなることで活性化する。年齢を経た脳は脆弱になっているので、若い時代よりも一層運動による活性化の効果が期待できる。エクササイズは予防薬として働く。老化は防げないが、運動は有効な一つの手段である。
今の若者は…と嘆く年配者は昔から居る。すでに脳の活動が大幅に低下していることの証であろう。自分の脳がどの程度レベルが低下しているのか気になるが、現状で満足するしかなかろう。

運動が脳を復活させる

友人から運動と脳の活力の関係を論じた本を紹介してもらった。
JPARK! How exercise will improve the performance of your brain
Dr John J. Ratey and Eric Hagerman
Quercus
2008年にLondonの出版社で出版された本でAmazonで1000円程度で入手できた。
興味があったのはジョギングを日課にしている自身の運動が71歳になって急速に衰えていく自分の脳レベルの維持に役立っているかどうかであった。第一章から読んでみたら学校に通う若者の脳が朝の運動によって勉学のレベルが向上しているという実験を紹介していた。若者が勉強する前に朝早起きして脈拍が最高レベルになるような運動をするのだという。ラジオ体操レベルでも目を覚ますのに有効だろうとこの実験結果の解釈には若干疑問をもった。
高齢者向けの記述を探したらほぼ最後の章で触れていた。219ページの終わり付近から以下の記述がある。
平均的な75歳高齢者は、3種類の慢性病を患い、5種類の処方薬を飲んでいるとCDC(Centers for Disease Control)の報告に書かれている。65歳以上では大半が高血圧で、3分の2が太りすぎ、20%が糖尿病である。死因は多い順に心臓疾患、癌、脳卒中で、この年代の死因の61%を占めている。すでに世間で知られているが、喫煙、運動不足、食生活の乱れが原因である。そして最近の研究で生活習慣の乱れが年を重ねるとともに顕在化する精神疾患の原因となることがわかってきた。…体を壊していくこれらの病気の原因は同時に脳の働きも壊していく。…心臓血管や糖尿病の多くの原因は同時に高齢者の神経変性による疾患の原因でもある。
我が身に照らして考えると高血圧、太りすぎは合致し、かろうじてジョギングにより母親がかかった糖尿病だけは回避している。精神疾患について自身で判断できるかどうか疑問だが、ボケや痴ほう症にはなりたくない。だとするとなおさらジョギングで体調を整えることを生活の中心にしなければ….